ブログ|有限会社 谷崎軌道

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谷崎軌道の雑学講座

皆さんこんにちは!

 

谷崎軌道、更新担当の中西です!

 

 

軌道工事と環境負荷:鉄道インフラ整備の光と影

 

 

 

今回は、あまり知られていない「軌道工事」の環境面について一般的な市場での動向を基に深く掘り下げてお話しします。軌道工事とは、列車が安全に走行するための線路(レール、枕木、道床など)を整備・補修する工事のことです。

私たちの生活を支える鉄道インフラ。朝の通勤、旅行、物流の一端を担う列車の安全・快適な運行の裏側には、日々の軌道工事が欠かせません。しかしその一方で、自然環境や地域社会に与える影響もあります。今回は、この業界の環境課題に焦点を当ててみましょう。


◆ 軌道工事にともなう主な環境負荷とは?

 

① 騒音・振動

軌道工事で使われる重機や大型建設機械(軌陸車、レール削正車、バラスト散布機など)は、稼働時に大きな音や振動を伴います。特に夜間工事の場合、住宅地の近くでは住民の睡眠妨害ストレス要因となることも少なくありません。

工事の頻度が高い都市部では、継続的な騒音・振動が問題視されるケースもあります。

② 粉じん・排ガス

レール交換やバラスト(砕石)補充、道床の掘削といった作業では、大量の粉じんが舞い上がります。また、重機や発電機から排出されるディーゼル排ガスも、工事関係者だけでなく周辺環境に悪影響を与えかねません。

さらに、粉じんが雨で流出すると、河川や排水溝の詰まりを引き起こすことも。

③ 廃材と建設廃棄物

レール、枕木、バラストなどの部材は経年劣化により定期的に交換されます。その際に発生する**鉄くずやコンクリート廃材、古い木材(防腐剤含有)**などは、適切な処理が求められます。

とくに古い防腐木材(クロムやヒ素を含むもの)や油分を含む道床材の処理には、特別な注意が必要です。


◆ 自然環境との共生という課題

 

軌道工事は都市部だけでなく、山岳地帯や海沿いなど、自然環境に近い場所でも行われます。そのため、以下のような環境との調和が重要になります。

  • 植生の破壊:作業用の道路や作業スペースの確保により、樹木や下草が伐採される。

  • 動物への影響:野生動物の生息地に工事音が届くことで、行動パターンが乱される。

  • 土壌流出・水質汚染:急傾斜地では、掘削により土砂流出が発生しやすく、周辺水路の濁りや排水トラブルにつながる。

 

これらの影響を最小限に抑えるためには、事前の環境アセスメント現場での丁寧な対応が求められます。


◆ 軌道保守を支える人材と労働環境

 

環境課題とあわせて見逃せないのが、作業員の労働環境です。夜間・高温・寒冷地・高所・騒音下など、過酷な条件で行われることも多く、安全確保と健康への配慮が重要です。

  • 過労による事故

  • 熱中症・寒冷障害

  • 粉じん吸引による呼吸器トラブル

 

こうしたリスクに対応するため、最新の防塵マスクや保護装備、空調服の導入、休憩管理体制なども強化されています。


【まとめ】

 

軌道工事は、私たちの暮らしを支える重要な土台でありながら、同時に多面的な環境負荷を伴う作業でもあります。次回は、こうした課題を解決するために業界が取り組んでいる「環境技術」や、今後の持続可能な軌道保守の未来について詳しくご紹介します。

次回もお楽しみに!

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谷崎軌道の雑学講座

皆さんこんにちは!
谷崎軌道の更新担当、中西です!

鉄道インフラを支える軌道保守雑学講座

今回は、「バラスト(道床砕石)のメンテナンスと長寿命化技術」について、計画立案から施工管理、最新の長寿命化技術まで詳しく解説します♪

バラストはレールと枕木を支える重要な役割を担い、列車荷重を地盤に分散させる“クッション”です。適切に管理しなければ、沈下やズレが生じて線形不良を招き、安全性と快適性を損ないます。今回は以下の4章で深掘りします。

  1. バラストメンテナンス計画の立案

  2. 定期点検・クリーニングから締固めまでの施工管理

  3. 不良道床の再構築と品質確保のポイント

  4. 最新長寿命化技術と今後の展望


1. バラストメンテナンス計画の立案

1.1 データ収集と劣化予測

  • 車両通過回数・重量データ:走行トン数と速度、列車種別(貨物・旅客)ごとに荷重サイクルを集計。

  • バラスト深度・締固め度調査:レール面下の砕石厚、密度をレーダー探査やコーン指数試験で測定。

  • 気象・排水条件:降雨量・地下水位・排水勾配がバラスト洗掘や凍上を引き起こすリスクを評価。

これらのデータを基にAIモデルで「バラストの沈下進行率」「洗掘発生確率」を予測し、保守優先区間をランク付け。

1.2 リスクランク付けとスケジュール化

  • 高リスク区間:急曲線・急勾配・高頻度路線。年1回の道床クリーニング+締固めを必須とし、予備予算を確保。

  • 中リスク区間:通勤路線の直線部。2年に1回のクリーニング+補填作業を計画。

  • 低リスク区間:貨物専用線や閑散路線。3~5年に1回の点検・補填で維持可能。

1.3 予算・工期・ダイヤ調整

  • 夜間閉塞枠の最適化:深夜帯の連続閉塞で大型メンテ車両を投入。閑散期には昼間の区間閉塞も併用。

  • コスト試算:バラストクリーニング車、締固め機械の稼働単価と作業時間から人件費・機械費を算出し、路線ごとに見積もり。


2. 定期点検・クリーニングから締固めまでの施工管理

2.1 日常点検と巡回

  • 目視・触診:バラストの洗掘や異物混入、枕木露出の有無を巡回員が確認。異常があれば臨時閉塞を設定。

  • デジタル報告:スマホアプリに写真と位置情報を登録し、本部で即座に共有。

2.2 道床クリーニング(バラスト洗浄)

  • クリーニング車両投入:高圧エアーや水噴射で泥土を除去し、砕石を再生。

  • 洗浄屑回収:洗浄泥水は分離装置で泥を沈降させ、清水を再利用。環境配慮型システムを採用。

  • 鉄則:「泥土除去後は必ず水切り・乾燥期間を設け、締固め品質を確保する」

2.3 バラスト補填と締固め

  • 補填砕石投入:粒度調整した新砕石を補填し、表層と下層の締固め密度を均一化。

  • 振動ローラー&振動ロータリー:多段階締固めで密度95%以上を達成。

  • 線形調整:トラックスケール(軌道検測車)で高さ・左右水平を測定し、所定寸法に再調整。


3. 不良道床の再構築と品質確保のポイント

3.1 完全再構築が必要なケース

  • 洗掘深度超過:バラスト厚が基準以下になり、締固めでも回復困難な区間。

  • 凍上・凍結被害:冬季に繰り返し凍結融解を起こし、砕石が劣化した箇所。

  • 化学汚染:排水に含まれる化学物質で砕石が劣化した場合。

3.2 施工フロー

  1. 既存バラスト撤去:重機で全量除去し、地盤の再確認と必要に応じた地盤改良を実施。

  2. 地盤安定化処理:セメント系固化材やジオテキスタイルを敷設し、地盤の透水性と強度を向上。

  3. 新砕石敷設・締固め:前述の補填・締固め手順で、設計断面を再構築。

3.3 品質保証と検査

  • バラスト試験:締固め密度、粒度分布、含水比を現場試験機で即時測定。

  • 検測車走行試験:仕上げ後に軌道検測車で線形とバラスト挙動を確認し、問題なければ引き渡し。

  • 鉄則:「再構築区間は二重チェック体制で、必ず第三者による品質検証を行う」


4. 最新長寿命化技術と今後の展望

4.1 バラスト改質剤の活用

  • ポリマー系改質剤:砕石同士を化学的に結合させ、洗掘・粉砕に強い“固まるバラスト”を実現。

  • ナノ粒子コーティング:砕石表面にナノシリカを被覆し、耐摩耗性と耐凍害性を向上。

4.2 IoTセンサーによるリアルタイム監視

  • 圧力・振動センサー埋設:バラスト内部の荷重分布を常時監視し、異常を即時検知。

  • ドローン+AI画像解析:線路上空からバラスト状態を撮影し、洗掘や沈下をAIが自動判定。

4.3 持続可能な資材循環モデル

  • リサイクル砕石利用:古バラストを再生処理し、品質基準をクリアしたリサイクル砕石として再投入。

  • 廃水リサイクルシステム:洗浄で発生する泥水を処理・再利用し、環境負荷を低減。


まとめ:バラスト管理で安全・快適・長寿命を両立

  1. 計画立案はデータ駆動型予測とリスクランク付けで最適化

  2. 点検・クリーニングから締固めまで施工管理を徹底し、線形を維持

  3. 再構築工事は地盤改良と品質検査で永久補修を実現

  4. 最新技術(改質剤・IoT・リサイクル)で持続可能な長寿命化

バラストは「見えない命綱」。適切なメンテナンスと革新的技術導入で、鉄道の安全と快適性を末永く支えていきましょう!

谷崎軌道では、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!
「安全意識」と「挑戦心」を重視した採用を行っていますので、求人情報ページをご覧のうえ、ご応募ください。皆さまのご応募を心よりお待ちしております!

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谷崎軌道の雑学講座

皆さんこんにちは!
谷崎軌道の更新担当、中西です!

鉄道の安全運行を支える要、レールの適切なメンテナンスと交換について深掘りする「軌道工事雑学講座」をお届けします。今回は、実際の現場で行われるメンテナンス計画の立案から施工管理、そして交換工事の流れまで、プロの視点で詳しく解説します♪

レールは列車の重荷重や摩擦を受け続け、長年にわたり少しずつ劣化します。適切なタイミングで補修・交換を行わなければ、安全性の低下や運行障害を引き起こすリスクが高まります。この記事では、以下の4つの章立てで進めます。

  1. メンテナンス計画の立案方法

  2. 日常・定期点検から研削までの施工管理

  3. 交換工事の流れと品質確保のポイント

  4. 最新技術導入事例と今後の展望


1. メンテナンス計画の立案方法

1.1 データに基づく劣化予測

まず、過去の走行データや摩耗測定結果、超音波探傷検査の履歴などを収集し、レールの劣化傾向をモデル化します。たとえば、特定区間の走行トン数や速度、気候条件(降雨量・温度変化)が摩耗進行に与える影響を統計解析し、数年先の摩耗量やクラック発生確率を予測します。AIを活用した予測モデルを導入している事業者も増えており、「走行トン数×環境係数」による摩耗シミュレーションが一般的です。

1.2 リスクランク付けと優先順位

劣化予測結果をもとに、路線全体を「高リスク」「中リスク」「低リスク」の3段階にランク分けします。カーブ区間、トンネル出口、橋梁上部などは荷重集中や排水不良で劣化が早いため高リスクと判定。平坦直線区間は低リスクです。高リスク区間は年1回、中リスクは年2回、低リスクは年3回の頻度で点検・研削計画を組み、予算と工期を割り振ります。

1.3 保守スケジュールの調整

メンテナンス計画は列車運行ダイヤとの調整が必須です。夜間・早朝の閉塞(線路使用停止時間)を活用し、研削車や点検車を投入します。繁忙期は閉塞時間が短いため、作業を小分けにして複数日に分散する「分割施工」方式を採用。逆に閑散期は一気に長時間の閉塞を確保し、まとまった区間を施工します。


2. 日常・定期点検から研削までの施工管理

2.1 日常点検と巡回業務

線路巡回担当者が毎日朝夕に線路を歩行点検し、レール表面の亀裂や欠け、異物の付着を確認します。異常があれば即時報告し、臨時閉塞を設定。点検内容はスマホアプリで記録し、GPSログと写真を自動アップロード。現場事務所でリアルタイムに共有し、迅速な対応を可能にしています。

2.2 月例・年次点検

月例点検では、レール締結部の緩み、バラスト(砕石)の沈下・流出、レールの高さ・左右水平度を測定。レール研削前には必ず点検を行い、研削量や補修必要箇所を確定します。年次点検では、超音波探傷検査や磁粉探傷検査で内部クラックを検出し、交換候補区間を最終決定します。

2.3 レール研削(グラインディング)の管理

研削作業はグラインディングトレインを用いて実施。研削前後のレール断面をプロファイル測定器で計測し、摩耗量や波状摩耗の除去量を記録。研削中はバラスト飛散防止用の集塵装置や給水装置を併用し、騒音・粉塵を抑制します。研削終了後は研削屑の回収と線路清掃を行い、線路検測車で通過試験を実施し、平滑性を確認して完了です。


3. 交換工事の流れと品質確保のポイント

3.1 交換区間の選定と資材手配

交換候補区間が決まったら、必要レール長さとジョイント数を算出し、レール工場からの搬入計画を立てます。長尺レール(80m~120m)の場合は特殊トレーラーで夜間搬入。短尺レールは一般トラックで昼間に搬入するなど、現場アクセスに応じた手配が必要です。

3.2 既存レールの切断・撤去

切断はプラズマ切断機またはレール切断機(ロータリソー)を用い、切断面のバリを研磨。既存レールと枕木(まくらぎ)・締結装置を同時に撤去し、枕木・バラストを点検。バラストが劣化している場合はバラストレギュレータで再整地し、新しい砕石を投入します。

3.3 新レールの敷設・溶接

溶接はフラッシュバット溶接機で行い、継目の内部まで完全融着させます。溶接後は超音波探傷検査で内部欠陥がないか確認し、溶接ビードをグラインダーで仕上げます。仕上がった継目を研削し、線形(高さ・左右水平度)を最終調整します。

3.4 締結装置と防振対策

新レールはパンドロールクリップやボルトで枕木に固定。クリップ荷重をトルクレンチで測定し、規定値を厳守します。騒音・振動対策として、ゴムダンパーや振動吸収パッドを敷設し、列車走行時の騒音低減とレール寿命延長を図ります。


4. 最新技術導入事例と今後の展望

4.1 高耐久レール素材の採用

マンガン合金レールやナノ結晶構造鋼など、従来鋼材より耐摩耗性・耐疲労性を高めた新素材レールが実用化されています。導入初年度はコスト高ですが、摩耗量が半減し、メンテナンス頻度を大幅に削減できるため、中長期的にはコストダウンが見込めます。

4.2 AI・IoTによる予知保全システム

レールに設置した加速度・振動・温度センサーがリアルタイムデータをクラウドに送信。AIが異常兆候を解析し、摩耗限界やクラック発生リスクを予測。必要な区間だけをピンポイントでメンテナンスできる「スマートメンテナンス」が進展中です。

4.3 ロングレール化と連続溶接技術の高度化

継ぎ目のないレールをさらに長尺化し、施工効率と乗り心地を向上。溶接後の歪みを最小化する「自動歪み補正装置」や、現場即日検査可能な「モバイル超音波検査システム」も開発されています。


まとめ:安全・効率・長寿命を両立するレールメンテナンス

  1. データ駆動型計画で劣化予測と優先順位付け

  2. 日常~年次点検と研削を確実に実施し、平滑性を維持

  3. 交換工事は切断・撤去から溶接・仕上げまで品質管理を徹底

  4. 最新技術(高耐久素材・AI予知保全・ロングレール化)で長寿命化を実現

鉄道インフラの要であるレールは、メンテナンスと交換を適切に行うことで、安全性・快適性・経済性を高いレベルで両立できます。谷崎軌道では、常に最新技術を取り入れ、お客様の信頼に応える軌道保守を実践しています!

谷崎軌道では、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!
私たちが最も大切にしているのは、「安全意識」と「チームワーク」。

ぜひ求人情報ページをご覧のうえ、ご応募ください。皆さまのご応募を心よりお待ちしております!

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谷崎軌道の雑学講座

皆さんこんにちは!

谷崎軌道の更新担当、中西です!

 

 

鉄道の安全運行を維持するために、レールの適切なメンテナンスと交換が不可欠です。レールは長期間にわたって列車の荷重や摩擦を受け続けるため、摩耗や劣化が進行しやすく、定期的な点検・補修・交換が必要になります

「レールの交換時期はどのように決まるのか?」
「どんなメンテナンスが行われるのか?」
「長寿命化のための最新技術は?」

今回は、軌道工事におけるレールのメンテナンス方法、交換時期の判断基準、レールの長寿命化技術 について詳しく解説します。


1. なぜレールのメンテナンスと交換が必要なのか?

レールは、高速で走行する列車の重荷重を受けながら、数十年にわたって使用されます。しかし、以下の要因によって劣化し、放置すると列車の安全性や運行効率に影響を及ぼす 可能性があります。

① レールの摩耗

  • 列車の車輪と接触することで、レール表面が少しずつ削られる。
  • 特にカーブ区間では、レールの側面(フランジ)も摩耗しやすい
  • 摩耗が進行すると、走行時の振動や騒音が増加し、安全性が低下する

② レールの塑性変形(波状摩耗)

  • 繰り返しの荷重により、レールが徐々に変形し、「波状摩耗」と呼ばれる細かい凹凸が発生。
  • 振動が大きくなり、列車の乗り心地が悪化。

③ レールの疲労破壊(クラック発生)

  • 高速列車が通過するたびに、小さなひび割れ(クラック)が発生。
  • クラックが進行すると、レールの破断につながるリスクが高まる。

④ レールの腐食(特に沿岸部・高湿度環境)

  • 海岸沿いや湿気の多いトンネルでは、水分や塩分による腐食 が進みやすい。
  • 腐食が進むとレールの強度が低下し、破損の原因となる。

2. レールのメンテナンス方法

レールの劣化を防ぎ、長寿命化するために、以下のメンテナンスが定期的に実施されます。

① レール研削(グラインディング)

目的:摩耗や波状変形を修正し、滑らかな走行面を維持する。
方法

  • 研削車(グラインディングトレイン)を使用して、レールの表面を均一に削る
  • 新幹線や主要幹線では、数年ごとに定期的な研削を実施

② 超音波探傷検査(クラック検出)

目的:目視では発見できないレール内部のクラックを検出する。
方法

  • 超音波をレール内部に送信し、異常な反射波を解析 することでクラックの有無を判断。
  • 鉄道会社では、定期的に超音波検査を実施し、問題のあるレールを早期交換する

③ レール締結装置の点検・交換

目的:レールを固定する締結装置(ボルト・パンドロールクリップ)が緩むと、振動や騒音が増加し、レール破損の原因となる ため、定期的に点検する。
方法

  • 締結装置の緩みをチェックし、必要に応じて交換・増し締めを行う
  • 締結部にゴム製ダンパーを追加することで、レールの振動を吸収し、寿命を延ばすことも可能

④ ロングレール化(溶接技術)

目的:レールの継ぎ目(ジョイント)をなくし、衝撃や摩耗を低減。
方法

  • レール溶接技術(フラッシュバット溶接など)を用いて、継ぎ目のないロングレールを設置
  • 振動や騒音が減少し、列車の乗り心地が向上する

3. レールの交換時期の判断基準

レールの交換時期は、摩耗量・クラックの進行度・走行距離 などの要因を基に決定されます。

① 摩耗量による交換基準

  • レールヘッドの摩耗が 5~10mm を超えると交換対象となる。
  • 特にカーブ区間では摩耗が早いため、直線区間よりも頻繁に交換が必要

② クラック(疲労破壊)による交換基準

  • 超音波探傷検査でクラックが発見された場合は、早急に交換が必要
  • 小さなクラックでも、放置すると破断のリスクが高まる ため、定期的な検査が重要。

③ 走行距離・年数による交換基準

  • 新幹線や貨物路線では、20~30年ごとにレールの全面交換が実施される
  • 通勤電車などの高頻度路線では、10~15年ごとの交換が一般的

4. レールの長寿命化技術と最新動向

高耐久レールの採用

  • 高炭素鋼や特殊合金を使用したレール(例:マンガン合金、クロム鋼)で、摩耗やクラックを低減。

AI・IoTを活用した状態監視

  • センサーをレールに設置し、リアルタイムで摩耗や振動を監視
  • AI解析によって、最適なメンテナンス時期を予測 するシステムが導入されつつある。

レールへの防錆コーティング

  • 沿岸部や湿気の多い場所では、耐食性のある塗装や特殊コーティングを施すことで、腐食を防ぐ

5. まとめ:レールのメンテナンスと交換の重要ポイント

定期的なレール研削(グラインディング)を行い、摩耗や波状変形を防ぐ
超音波探傷検査で、レール内部のクラックを早期に検出し、計画的に交換する
ロングレール化や締結装置の強化で、振動・衝撃を低減し、寿命を延ばす
走行距離・摩耗量・疲労破壊の状況を基に、適切な交換時期を判断する
AI・IoTを活用したスマートメンテナンスで、効率的なレール管理を実現する

鉄道の安全性と耐久性を維持するためには、適切なメンテナンスと計画的な交換が不可欠 です。最新技術を活用しながら、鉄道インフラを持続可能な形で維持していくことが求められています。

 

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谷崎軌道の雑学講座

皆さんこんにちは!

谷崎軌道の更新担当、中西です!

 

鉄道は、安全かつ効率的な輸送手段として世界中で利用されています。その鉄道インフラの中核を担うのが「レール」です。レールの耐久性は、列車の安全性や運行効率、メンテナンスコストに大きな影響を与えるため、軌道工事において非常に重要な要素 となります。

「レールの耐久性はどのように決まるのか?」
「レールの摩耗や損傷を防ぐための技術は?」
「長寿命化のための軌道工事の工夫とは?」

今回は、レールの耐久性に関わる要因、素材や構造の違い、劣化を防ぐためのメンテナンス方法 について詳しく解説します。


1. レールの耐久性を決定する主な要因

① レールの材質(鋼種)

レールの耐久性は、使用される鋼材の種類(鋼種)によって大きく変わります

  • 炭素鋼レール(標準的な鋼材)
    • 一般的な鉄道で使用される
    • 強度と加工性のバランスが良い
  • 高炭素鋼レール
    • 炭素含有量を増やし、耐摩耗性を向上
    • 重荷重路線や高速鉄道で採用
  • 合金鋼レール(マンガン鋼・クロム鋼など)
    • 硬度が高く、摩耗や変形に強い
    • 特にカーブや急勾配の路線に適用

② レールの断面形状

レールの形状も耐久性に影響を与えます。標準的なレールの断面は「I字型」をしており、以下の要素が重要です。

  • レールの高さ(高いほど曲げ強度が増す)
  • ヘッド部(上部)の厚み(摩耗しにくくなる)
  • ウェブ部(中央部)の厚み(軌道の安定性を向上)

最新の高速鉄道では、振動・衝撃を最小限に抑えるために断面形状が最適化されたレールが使用されています。

③ 軌道構造(バラスト・スラブ)

レールが敷設される軌道の構造も耐久性に関わります。

  • バラスト軌道(砕石軌道)
    • 伝統的な軌道構造で、地盤の沈下や振動を吸収
    • 砕石が摩耗すると補充が必要
  • スラブ軌道(コンクリート軌道)
    • 高速鉄道や都市鉄道で採用
    • レールの変形を防ぎ、メンテナンス頻度を低減

④ 列車の重量と運行頻度

  • 重量貨物列車が頻繁に通る路線では、レールの摩耗や塑性変形が進みやすい。
  • 高速鉄道では、衝撃による微細なクラック(疲労破壊)が問題となるため、特別な材質のレールが必要。

2. レールの劣化と損傷の種類

レールは長期間使用されると、摩耗・疲労・変形・腐食 などの損傷が発生します。

① 摩耗(Wear)

  • ヘッド摩耗:列車の車輪が繰り返し接触することで、レールの表面が削れる。
  • フランジ摩耗:カーブ部分で車輪のフランジがレール側面を削る。
  • 対策:高硬度レールの使用、レール研削(グラインディング)

② レールの塑性変形(Plastic Flow)

  • レールの表面が波状に変形する「波状摩耗(レールウェーブ)」が発生し、振動・騒音の原因となる。
  • 対策:周期的なレール研削、スラブ軌道の採用

③ レールの疲労破壊(Rolling Contact Fatigue, RCF)

  • 繰り返しの荷重で微細なクラックが発生し、最終的に破断につながる。
  • 対策:高強度レールの使用、超音波検査によるクラック検出

④ レールの腐食(Corrosion)

  • 特に海岸沿いや湿気の多い場所では、塩害や水分による腐食が問題となる。
  • 対策:耐食性塗装、合金レールの使用

3. レールの耐久性を向上させる技術とメンテナンス

レールの寿命を延ばすために、以下の技術や対策が用いられます。

① 高強度レールの導入

  • 焼入れレール(表面を硬化処理)
  • 超高耐摩耗レール(特殊合金を使用)

② レール研削(グラインディング)

  • 定期的にレール表面を削ることで、摩耗や波状変形を防ぐ。
  • 新幹線では年間を通じてレール研削を実施し、平滑性を維持。

③ レール溶接(ロングレール化)

  • 従来のレール継ぎ目(ジョイント)をなくし、長いレールを使用することで、継ぎ目摩耗や騒音を減少。
  • 例:日本の新幹線では、最大200m以上のロングレールを採用。

④ 振動・騒音対策

  • レールの下に防振ゴムや特殊な敷設材を使用し、衝撃を吸収する。

⑤ AI・IoTを活用した状態監視

  • レールにセンサーを設置し、摩耗やクラックをリアルタイムで検出する技術が進化している。
  • AI解析により、最適なメンテナンス時期を予測するシステムも導入されている。

4. まとめ:軌道工事におけるレールの耐久性向上のポイント

レールの材質(高強度鋼・合金鋼)を適切に選定する。
適切な軌道構造(スラブ軌道・バラスト軌道)を採用する。
摩耗や変形を防ぐために、定期的な研削を行う。
ロングレール化や防振技術を活用し、レールの負担を軽減する。
AI・IoTを活用した監視システムで、メンテナンスを効率化する。

鉄道の安全性と効率を維持するためには、レールの耐久性を高める技術と定期的なメンテナンスが不可欠 です。軌道工事の最適化により、持続可能な鉄道インフラの実現が可能となります。

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谷崎軌道の雑学講座

皆さんこんにちは!

谷崎軌道の更新担当、中西です!

 

谷崎軌道の雑学講座

ということで、弊社のお仕事に関する雑学を少しずつお届けします!

 

今回は、軌道工事の鉄則について、安全・精度・効率・持続可能性の4つの観点から深く掘り下げていきます。

 

 

 

鉄道の安全で快適な運行を支えるためには、軌道工事が欠かせません。レール、枕木、バラスト(砕石)、道床、橋梁、トンネルなど、多くの構造要素が関係する軌道工事は、高い精度と安全性が求められる専門的な分野です。


1. 安全管理の鉄則:事故ゼロを目指す徹底したリスク管理

軌道工事は、高所作業・重量物運搬・夜間作業・列車の走行との並行作業など、危険が多い現場です。安全対策を徹底することが最優先となります。

① 施工計画の立案とリスクアセスメントの徹底

工事開始前に、現場のリスクを徹底的に洗い出し、作業手順を明確にすることが鉄則です。

  • 作業員の安全確保(夜間作業時の照明、列車接近時の退避ルール)
  • 工事スケジュールの明確化(列車の運行時間と連携し、作業可能時間を厳守)
  • 作業エリアの明示(標識・警告灯の設置、危険エリアの明確化)

② 高所作業・重量物運搬時の安全対策

軌道工事では、高架橋の補修やレール交換などで高所作業が必要になります。作業員の安全を確保するために、以下の鉄則が求められます。

  • 墜落防止対策の徹底(安全帯・足場・昇降設備の確保)
  • 重量物運搬の際のクレーン操作の適正管理(吊り荷の適切なバランス管理)
  • 列車走行中の作業禁止(特に夜間作業では列車ダイヤとの調整が必須)

2. 精度を極める鉄則:1ミリの誤差が運行に影響を与える

軌道工事は、ミリ単位の精度が要求される作業です。レールの歪みやレベルのズレがあると、列車の振動や騒音が増加し、安全性にも影響を与えます。

① 軌道整備の基本要件

レールの設置・補修では、以下の基準を厳守する必要があります。

  • 軌間(レール間の距離):1067mm(在来線)、1435mm(新幹線)
  • レールの直線性(狂いがないかの確認)
  • レールと枕木の締結の強度

② バラスト(道床)の適切な管理

バラストは、レールを支えるクッションの役割を果たします。適切な状態に保つことが軌道の安定性を確保するための鉄則です。

  • 定期的なバラスト交換(沈下や固結を防ぐ)
  • 適正なバラスト厚の維持(50~70cmが一般的)
  • バラストの均等な敷設(密度が不均一だとレールの沈下を招く)

③ 軌道検査技術の活用

現在では、AIやIoTを活用した軌道検査技術が導入され、軌道の状態をリアルタイムで把握できるようになりました。

  • 軌道検測車(ドクターイエロー)を活用し、レールの歪みや沈下を自動診断
  • レーザー測定や3Dスキャン技術で、ミリ単位のズレを補正
  • 振動センサーを設置し、異常発生時に即座に検知

3. 効率化の鉄則:短時間で最大の成果を上げる施工技術

軌道工事は、列車運行に支障を与えないよう、限られた時間内で効率的に作業を完了させることが求められます

① 夜間作業の最適化

都市部の軌道工事では、終電後~始発までの短時間で作業を完了する必要があります。

  • 事前に作業をシミュレーションし、無駄を省く
  • 機械化を推進し、手作業を減らす(軌道敷設機械の導入)
  • 作業員の役割分担を明確にし、タイムロスを防ぐ

② 自動化・機械化の導入

近年、軌道工事の効率化を目的に、高性能な作業機械の導入が進んでいます。

  • バラストスクリーニングマシン(古いバラストを自動で除去・再利用)
  • ロングレール輸送車(溶接済みの長尺レールを一度に敷設)
  • AIロボットによる道床検査(人手不足を補う)

自動化を活用することで、作業時間の短縮と人的ミスの削減が可能になります。


4. 持続可能性と環境配慮の鉄則

近年、軌道工事でも環境負荷の低減が求められるようになりました。

① リサイクル可能な材料の活用

  • 古いバラストの再利用(洗浄・再整備して再利用する)
  • リサイクル可能なコンクリート枕木の導入
  • レールのリユース(摩耗した部分を研磨して再利用)

② 騒音・振動対策の強化

都市部や住宅地の近くでは、騒音や振動を最小限に抑える軌道工事が必要です。

  • 制振軌道(振動を吸収する素材を使用)
  • 防音壁の設置(工事中・運行中の騒音を軽減)
  • 最新の施工技術を導入し、工事音を抑える

環境負荷を減らしながら、鉄道インフラを維持することが今後の課題となります。


5. まとめ:軌道工事の成功を支える鉄則

軌道工事は、鉄道の安全性・快適性・持続可能性を確保するための重要な作業です。その成功には、以下の鉄則を守ることが不可欠です。

  1. 安全管理の徹底(事故ゼロを目指し、リスクアセスメントを強化)
  2. 精度の追求(ミリ単位の誤差を防ぐ高度な施工技術の活用)
  3. 効率化の推進(限られた時間で最大の成果を上げる自動化・機械化)
  4. 持続可能な工法の採用(環境負荷を低減し、リサイクル技術を活用)

これからの軌道工事は、AIやIoTなどの最新技術を活用しながら、安全かつ効率的にインフラを維持していくことが求められます

 

 

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谷崎軌道の雑学講座

皆さんこんにちは!

谷崎軌道の更新担当、中西です!

 

谷崎軌道の雑学講座

ということで、弊社のお仕事に関する雑学を少しずつお届けします!

 

今回は軌道工事の歴史とその背景について、鉄道技術の発展とともに深く掘り下げていきます。

 

 

鉄道は、世界中で重要な交通インフラとして発展してきました。その鉄道を支える基盤である「軌道」は、安全で快適な運行を確保するために、常に高い技術と精密な施工が求められる工事分野です。

日本においても、鉄道の発展とともに軌道工事の技術は進化し、現在では高速鉄道や都市交通の発展を支える重要な要素となっています。


1. 軌道工事の起源:産業革命と鉄道の誕生(19世紀前半)

① 鉄道の誕生と初期の軌道工事(1800年代)

鉄道の歴史は、19世紀初頭のイギリスで始まりました。

  • 1804年:世界初の蒸気機関車がイギリスのペナダレン鉄道で試験走行。
  • 1825年:ジョージ・スティーブンソンが「ストックトン・ダーリントン鉄道」で、世界初の旅客鉄道を開業。
  • 1830年:「リバプール・マンチェスター鉄道」が開通し、本格的な鉄道時代が到来。

この時期の鉄道の軌道は、石造の土台の上に鋳鉄製のレールを敷く方式でした。しかし、鋳鉄は割れやすく、耐久性に課題があったため、すぐに鍛鉄(後の鋼鉄)製のレールへと進化していきました。

② 日本への鉄道導入と軌道工事の開始(1870年代)

日本に鉄道が導入されたのは、明治時代になってからです。

  • 1872年:日本初の鉄道(新橋~横浜間)が開業。
  • 1870年代~1880年代:欧米の技術を導入しながら、全国各地で鉄道建設が進む。

この時期の軌道工事は、主にイギリス式の鉄道技術を採用し、木製の枕木とレールを敷設する方式が用いられました。まだ道床(バラスト)の技術は未熟であり、軌道の保守管理は手作業が中心でした。


2. 近代化と軌道工事の発展(20世紀前半)

① 軌道技術の進化と日本全国への鉄道網拡大(1900年代~1940年代)

20世紀初頭になると、鉄道は急速に発展し、日本全国に鉄道網が広がりました。

  • 1906年:鉄道国有法により、日本の主要鉄道が国有化(日本国有鉄道の前身)。
  • 1920年代:鉄道の電化が始まり、レールや軌道設備の強化が進む。
  • 1940年代:戦時中の物資輸送のため、鉄道の拡張が加速。

この時代の軌道工事では、木製枕木からコンクリート枕木へと移行する動きが始まり、耐久性の高い軌道が整備されるようになりました。また、軌道の直線化や勾配の緩和が行われ、鉄道の運行効率が向上しました。


3. 戦後復興と新幹線の誕生(1950年代~1970年代)

① 戦後の復興と鉄道インフラの近代化(1950年代~1960年代)

第二次世界大戦後、日本の鉄道は大きな復興を遂げました。

  • 1950年代:戦後の経済復興とともに、老朽化した軌道の改修工事が進められる。
  • 1960年代:鉄道の高速化が求められ、新技術の導入が進む。

この時期には、レールの継ぎ目を減らした「ロングレール」の導入が進み、列車の走行安定性が向上しました。また、新幹線の開発が始まり、軌道工事の技術革新が加速しました。

② 東海道新幹線の開業と軌道工事の革新(1964年)

1964年、世界初の高速鉄道「東海道新幹線」が開業し、日本の軌道工事技術は大きく発展しました。

  • コンクリート道床の採用により、耐久性とメンテナンス性が向上。
  • ロングレール(溶接軌条)によって、騒音や振動を低減。
  • 高架橋やトンネル工事の技術革新で、直線的なルートを実現。

新幹線の開発により、より高精度な軌道敷設技術が求められ、軌道工事の専門性が高まった時期でした。


4. 現代の軌道工事と未来への展望(1980年代~現在)

① 在来線・新幹線の高速化とメンテナンス技術の進化(1980年代~2000年代)

1980年代以降、日本の軌道工事はメンテナンス技術の向上と自動化が進みました。

  • 軌道検測車(ドクターイエロー)による自動検査技術の導入。
  • 超電導リニアの開発による、新しい軌道技術の研究。
  • 騒音・振動対策の強化(防音壁、制振軌道の導入)。

また、新幹線の新路線(東北・九州・北海道新幹線など)が続々と開業し、軌道工事の技術も進化しました。

② 次世代の軌道工事技術と持続可能な鉄道インフラ(2020年代~未来)

近年の軌道工事は、環境負荷の低減と持続可能なインフラ整備が重視されています。

  • リサイクル可能なバラスト材やコンクリートの採用
  • AI・IoTを活用した軌道のリアルタイム監視技術
  • リニア中央新幹線の開発による磁気浮上式軌道の進化

今後は、自動運転技術や再生可能エネルギーを活用した軌道設備の開発が進み、より持続可能な鉄道インフラが構築されていくと考えられます。


5. まとめ:軌道工事の歴史と未来への展望

軌道工事の歴史は、鉄道の発展とともに進化してきた技術の結晶です。

  • 19世紀:産業革命とともに鉄道が誕生し、基礎的な軌道工事が発展。
  • 20世紀前半:日本全国に鉄道網が拡大し、軌道工事の技術が向上。
  • 1960年代:新幹線の誕生により、軌道技術が飛躍的に進化。
  • 現代:持続可能な鉄道インフラの構築に向けて、新たな技術が導入。

今後も、軌道工事はより高精度・高耐久な技術へと進化し、日本の鉄道インフラを支え続けていくでしょう。

 

 

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谷崎軌道の雑学講座

皆さんこんにちは!

谷崎軌道の更新担当、中西です!

 

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ということで、弊社のお仕事に関する雑学を少しずつお届けします!

 

今回は列車の軌道整備について

 

列車が安全かつ効率的に運行されるためには、線路や軌道の整備が欠かせません。軌道は列車の「道路」ともいえる存在であり、その状態が列車の運行の安定性や安全性に大きく影響を与えます。軌道整備を行うためには、高い専門知識とスキルが必要です。そのため、軌道整備に関わる技術者には、専門性を証明するための資格取得が求められることが多いです。

この記事では、列車の軌道整備に関する代表的な資格とその特徴、また資格取得のメリットや役割について詳しく解説します。これを通じて、鉄道インフラを支える縁の下の力持ちである軌道整備士たちの重要性を理解していただければと思います。


軌道整備の重要性と専門資格の必要性

軌道整備は、レールや枕木、バラスト(線路下の砕石)などの鉄道構造物の維持管理を行い、列車の安全運行を確保するための重要な業務です。列車は高い速度で走行するため、わずかな軌道のズレや損傷が重大な事故につながる可能性があります。そのため、軌道整備では精密な作業が求められ、高い専門知識と技術力を持った技術者が作業に携わる必要があります。

軌道整備に関する資格を取得することは、次のようなメリットを技術者に与えます:

  • 専門知識と技術力を証明できる。
  • 職場での信頼性と責任が向上する。
  • 軌道整備業界でのキャリアアップが可能になる。
  • 鉄道業界全体における安全基準の向上に貢献できる。

こうした理由から、軌道整備に関する資格取得は鉄道業界で働く技術者にとって非常に重要なステップとなります。


日本で取得できる代表的な軌道整備の資格

日本には軌道整備に関連する資格がいくつか存在し、それぞれ異なる特徴や取得要件があります。以下に代表的な資格を挙げ、それぞれの特徴を解説します。

1. 軌道工事責任者

軌道工事責任者は、鉄道の軌道工事における責任者としての役割を担うための資格です。軌道の設置、修理、保守に関わる技術や知識を有していることが求められます。

  • 主な特徴
    • 軌道工事の現場で指揮を執る役割を持つ。
    • 工事計画の立案から実施、安全管理までを総合的に管理する能力が求められる。
    • 鉄道事業者や建設会社の軌道関連部署で必要とされる資格。
  • 取得方法
    • 鉄道関連の実務経験が必要(通常数年の経験が条件)。
    • 研修を受けた後に試験を合格することで資格を取得。
  • メリット
    • 軌道整備の現場でのリーダーとして活躍できる。
    • 高い責任を伴う仕事で、キャリアのステップアップが可能。

2. 鉄道施設管理技士

鉄道施設管理技士は、軌道整備だけでなく鉄道のさまざまな施設(駅や橋梁、トンネルなど)の保守や管理を行う技術者を対象とした資格です。

  • 主な特徴
    • 鉄道の軌道整備のほか、広範囲な施設管理能力を求められる。
    • 設備の点検、補修計画の立案、コスト管理などを担当。
    • 国家資格ではなく、主に鉄道関連業界内での認知度が高い資格。
  • 取得方法
    • 講習や研修を受講した後、試験に合格することで取得可能。
    • 受験資格として鉄道関連の実務経験が求められる場合が多い。
  • メリット
    • 軌道整備にとどまらず鉄道インフラ全体の管理に携われる。
    • 幅広いスキルを持つことで、さまざまな部署や役職で活躍可能。

3. 土木施工管理技士(鉄道分野)

土木施工管理技士は、鉄道工事も含めた土木工事全般の施工管理を行うための国家資格です。鉄道分野に特化した知識を持つことで、軌道整備業務でも役立つ資格となります。

  • 主な特徴
    • 土木工事全般を管理するための知識と技術が身につく。
    • 鉄道軌道だけでなく、橋梁やトンネルの建設・保守でも役立つ。
  • 取得方法
    • 一級と二級があり、二級は実務経験が2~3年程度で受験可能。
    • 一級はさらに高い実務経験が必要(3~5年程度)。
    • 筆記試験と実地試験の両方に合格する必要がある。
  • メリット
    • 鉄道業界以外の土木業界でも活躍できる汎用性の高い資格。
    • プロジェクトマネジメントスキルが向上し、責任あるポジションに就きやすい。

4. 鉄道車両整備士(間接的関連)

鉄道車両整備士は車両の整備に特化した資格ですが、軌道整備における知識が求められる場合もあります。車両と軌道の相互作用を理解することは、軌道整備業務にも役立つでしょう。


資格取得のプロセスと課題

軌道整備に関する資格を取得するためには、専門的な学習と実務経験が必要です。多くの資格では、以下のプロセスを経て取得が可能です:

  1. 実務経験の積み重ね
    資格取得には一定の実務経験が必要な場合がほとんどです。たとえば、軌道工事責任者や鉄道施設管理技士では、現場での経験が求められます。経験を通じて、実践的な知識やスキルを学ぶことが重要です。
  2. 講習や研修への参加
    資格試験の前に、専門機関が提供する講習や研修を受講することが一般的です。このプロセスで、軌道整備に必要な技術や法令、安全管理に関する知識を深めます。
  3. 試験合格
    資格試験では、専門知識や実践的な問題解決能力が問われます。一部の試験では筆記試験だけでなく、実地試験も含まれます。
  4. 更新や再教育
    資格を取得した後も、継続的な学習や更新手続きが必要な場合があります。これは技術の進化や安全基準の変化に対応するためです。

資格取得の課題

  • 資格取得までに時間がかかる(実務経験や研修が必要)。
  • 高い専門性が求められるため、学習が難しい場合がある。
  • 更新手続きや新しい技術の習得が必要で、継続的な努力が求められる。

結論:鉄道の安全を支える専門資格の価値

列車の軌道整備に関する資格は、鉄道の安全性と効率性を確保する上で非常に重要です。これらの資格を取得することで、軌道整備の技術者はその専門性を証明し、鉄道業界での信頼と責任を担うことができます。また、資格を持つことでキャリアアップやさらなる活躍の場が広がり、鉄道インフラの維持と発展に貢献することが可能です。

軌道整備は目立たない仕事ですが、鉄道の安全運行を陰で支える重要な職務です。その責任を果たすためには、高度な技術と資格が欠かせません。資格取得を目指す技術者たちが鉄道業界の未来を支える存在であり、彼らの努力が私たちの安心で快適な移動を支えているのです。

 

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谷崎軌道の雑学講座

皆さんこんにちは!

谷崎軌道の更新担当、中西です!

 

新年あけましておめでとうございます

今年もどうぞよろしくお願いいたします

 

さて今回から始まる

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今回は枕木について

 

鉄道は現代社会の重要な交通インフラであり、その基盤となる線路は、私たちの生活や経済活動を支える欠かせない存在です。その線路の中でも、普段あまり注目されることのない「枕木」は、鉄道の安全性や効率性を左右する非常に重要な部品です。枕木は、レールをしっかりと支えるだけでなく、荷重を分散し、列車の安定した運行を支える重要な役割を果たしています。このブログでは、枕木の役割、構造、素材、進化、そして鉄道におけるその重要性について深く掘り下げていきます。


枕木の基本的な役割

枕木は、線路のレールを適切な位置に固定し、列車の運行を安全かつ効率的に行うための重要な構造部品です。その役割を詳しく見ていくと、以下のようなポイントが挙げられます:

1. レールの固定

枕木は、レールをしっかりと固定する役割を担っています。レールは列車の重さや運行時の振動を受けるため、正確な位置に固定されていなければ、安全な走行ができません。枕木はレールを適切な間隔で固定することで、列車の安定した走行を可能にしています。

2. 荷重の分散

列車がレールにかける重さ(荷重)は非常に大きく、直接地面に伝わると地盤が損傷する可能性があります。枕木はこの荷重を線路全体に均等に分散し、バラスト(線路下の砕石)を通じて地面に伝える役割を果たします。この荷重分散機能により、線路が長期間にわたって安定した状態を維持できるのです。

3. 線路の位置の安定

列車の振動や気温の変化、地盤の動きなどによって線路がズレることがあります。枕木は、レールをしっかりと固定し、線路の位置を安定させることで、このズレを防止します。特にカーブの多い区間や急勾配の場所では、枕木の安定性が列車の走行に大きく影響します。

4. 振動の吸収

列車が走行する際、レールには大きな振動が伝わります。この振動をそのまま地盤に伝えると、線路の周辺や下部の地盤が損傷しやすくなります。枕木は振動を吸収し、地面への影響を軽減するクッションのような役割を果たします。


枕木の素材とその特性

枕木には、様々な素材が使用されており、それぞれに特性と利点があります。鉄道技術の発展とともに、枕木の素材も進化してきました。以下は、主要な枕木の素材とその特徴です。

1. 木製枕木

木製枕木は、鉄道創設当初から長い間使用されてきた伝統的な素材です。特に強度が高く加工が容易なスギやヒノキ、オークなどが使われてきました。

  • 利点
    • 加工が容易で、現場での取り扱いがしやすい。
    • 振動吸収性が高く、列車の振動を効果的に緩和する。
    • リサイクルや廃棄が比較的容易。
  • 欠点
    • 腐食やシロアリによる劣化が発生しやすい。
    • 定期的な防腐処理が必要。

現在でも一部の鉄道や歴史的な線路で使用されていますが、耐久性や環境への配慮から、他の素材への置き換えが進んでいます。

2. コンクリート製枕木

コンクリート製枕木は、耐久性が高く、木製枕木の代替として広く採用されています。

  • 利点
    • 耐久性が高く、腐食やシロアリ被害の心配がない。
    • 高い重量があり、線路の安定性が向上する。
    • 保守や交換の頻度が少なく、長寿命。
  • 欠点
    • 重量があるため、施工時に専用の機械が必要。
    • 振動吸収性が木製枕木より劣る。

新幹線や都市部の主要な路線では、コンクリート製枕木が一般的です。

3. 鋼製枕木

鋼製枕木は、コンクリートや木材に次ぐ選択肢として使われてきました。主に貨物線や特定の用途に適しています。

  • 利点
    • 耐久性が非常に高く、長寿命。
    • 腐食防止加工により、厳しい環境下でも使用可能。
  • 欠点
    • 錆びやすいため、適切なメンテナンスが必要。
    • コストが高い。

4. プラスチック製枕木

近年、環境に配慮した新素材としてプラスチック製枕木が注目されています。廃プラスチックをリサイクルして作られることが多いです。

  • 利点
    • 耐久性があり、腐食やシロアリの影響を受けない。
    • 軽量で取り扱いやすい。
    • リサイクル素材を利用しており、環境負荷が少ない。
  • 欠点
    • 初期コストが高い。
    • 振動吸収性が他の素材に比べて劣る場合がある。

枕木と鉄道安全の関係

枕木は、鉄道の安全性を確保する上で重要な役割を果たしています。例えば、以下の点が挙げられます:

1. 列車脱線の防止

レールが正しい位置に固定されていなければ、列車の脱線事故が発生する可能性があります。枕木がレールをしっかりと支えることで、列車の安定走行が実現されます。

2. 天候や地盤変動への対応

枕木は、地盤が軟弱な場所や極端な気象条件においても、線路を安定させる役割を果たします。たとえば、豪雨や地震の影響で地盤が変動しても、枕木が荷重を分散させることで線路の損傷を最小限に抑えます。

3. 振動と騒音の抑制

枕木は、列車が通過する際の振動や騒音を吸収する役割も持っています。特に住宅地近くを走る路線では、枕木の材質や設計が列車運行の環境影響を軽減する上で重要です。


まとめ:鉄道を支える縁の下の力持ち

枕木は、鉄道の基盤を支える縁の下の力持ちと言える存在です。普段目立つことはありませんが、その役割は鉄道の安全性、効率性、持続可能性を左右するほど重要です。素材や設計の進化により、枕木は今後もさらなる改良が期待されます。そして、私たちが普段利用している鉄道の背後には、このような技術と工夫が支えられていることを忘れてはなりません。

 

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朝夕はめっきり冷え込んできましたね

日に日に秋が深まってきましたね。
仕事の後は、アツアツおでんにお鍋が美味しい季節です!
年末に向け、何かと忙しい日々が続きますが、コロナ禍はまだ収束しておりません!
お互いに感染防止対策を欠かさず気をつけましょう!!