オフィシャルブログ

日別アーカイブ: 2025年11月17日

谷崎軌道の雑学講座

皆さんこんにちは!

神奈川県横浜市を拠点に軌道工事などを行っている

谷崎軌道、更新担当の中西です!

 

 

~夜間軌道工事の現場~

 

鉄道の軌道工事の多くは、列車が走らない深夜に行われる。
「終電から始発までの間に行う夜間軌道工事」は、限られた時間と厳しい条件の中で行われる最も緊張感の高い現場だ。


1. 夜間工事の時間制約

夜間軌道工事の平均作業時間は約3〜4時間。
この間に重機搬入・施工・検査・撤収までを完了し、始発列車が通れる状態に戻す必要がある。
1分でも遅れれば、ダイヤ全体に影響が出る。
そのため、工程表は「分単位」で作成される。


2. 現場の安全管理

夜間は視界が悪く、騒音規制もあるため、昼間とは違う安全配慮が求められる。

  • 作業区域を明確に区分し、赤色灯・標識で可視化

  • 作業員は反射ベスト・LEDヘッドライトを装着

  • 線路立入前後に保安係による列車確認を必ず実施

  • 工事指揮者・保安係・連絡員の三者確認を徹底

現場では「声を出す」「確認を怠らない」文化が徹底しており、暗闇の中でもチーム全体が一体で動く。


3. 精度確保のための測定技術

暗闇の中で精度を出すために、最新の測量機器とICT技術が活用されている。
トータルステーションでレール高低を自動計測し、タンパー機がバラストを自動調整する。
これにより、夜間でも白昼同等の精度が確保できるようになった。

しかし最終的な微調整は、人の手で行う。
通り・高低・ゲージを最終確認し、誤差1mm以内に収める。
この“人と機械の協働”が夜間軌道工事の本質である。


4. 施工後の確認と始発への責任

工事終了後は必ず「検測列車」または「試運転車両」による走行確認が行われる。
これで異常がなければ、始発列車を通すことが許可される。
夜が明けるころ、工事区間を列車が走り抜けていく瞬間に、現場全員の緊張が解ける。


5. まとめ

夜間軌道工事は、短時間・高精度・安全管理という三重のプレッシャーの中で行われる。
その1回1回の積み重ねが、日本の鉄道の「始発が必ず動く」という信頼を支えている。
見えない夜の努力こそ、鉄道インフラの真価を形づくっている。