皆さんこんにちは!
神奈川県横浜市を拠点に軌道工事などを行っている
谷崎軌道、更新担当の中西です!
鉄道の軌道は、長年の走行によって摩耗・変形・劣化が進む。
特にレールとまくらぎは、列車重量を直接受けるため、定期的な更新が欠かせない。
この回では、軌道の更新工事について詳しく解説する。
レールは鉄製でありながら、日々の荷重・気温変化・摩擦で確実に劣化していく。
主な劣化原因は以下の通りである。
表面摩耗・波状摩耗
鋼材内部の微細き裂
継目部の打音疲労
熱伸縮による応力集中
特に曲線区間では摩耗が早く、直線の約1.5倍の頻度で交換が必要になる。
一般的に、使用期間は20〜30年が目安だが、近年は高強度鋼レール(60kgレールなど)の導入で寿命が延びつつある。
まくらぎは、レールを支える縦材で、荷重をバラストへ分散させる役割を持つ。
以前は木製が主流だったが、現在ではコンクリート製(PCまくらぎ)が主流となっている。
更新作業では、以下の工程が行われる。
既設レールの一部撤去
まくらぎ引抜き(専用機使用)
新品まくらぎ挿入・通り合わせ
レール復旧・締結装置調整
バラスト整正
作業は夜間の限られた時間で行われるため、専用の軌道機械(マクラギ交換機、バラストタンパー)が投入される。
これにより、1夜で数百メートル規模の更新が可能となる。
近年の軌道更新工事では、単に交換するだけでなく、「次の交換までを長く保つ」ための工夫が行われている。
防錆塗装による金属劣化防止
締結装置(ファスナー)の高弾性化
バラストの粒度・配合の最適化
レール溶接継目の削減による応力低減
また、打撃音や振動を抑えるための「防振軌道」「弾性まくらぎ」も導入が進んでおり、都市部では騒音対策の要として機能している。
軌道更新は、運行に支障を与えず施工することが求められるため、緻密な段取りが不可欠。
施工前には詳細な列車ダイヤ調整、資材搬入ルート確保、作業員配置計画が策定される。
1本の列車が遅れるだけで作業時間が30分短くなることもある。
そのため、現場では「秒単位の工程管理」が行われている。
安全確認・測定・締結・撤収のすべてが計算され尽くしており、その緊張感は他業種の工事とは一線を画す。
レールとまくらぎの更新は、鉄道の“血管と骨格”を入れ替えるようなものだ。
膨大な重量・精度・時間制約の中で、安全と耐久性を両立させる。