皆さんこんにちは!
神奈川県横浜市を拠点に軌道工事などを行っている
谷崎軌道、更新担当の中西です!
近年、鉄道の軌道工事にも大きな変化が起きている。
AI、ICT、ロボット化、そしてカーボンニュートラル化。
軌道工事は“重労働の世界”から、“データと技術の世界”へと進化を続けている。
近年、軌道整正機(マルチプルタイタンパー)には自動制御システムが搭載され、
測量データを基にレール高低や通りを自動で調整できるようになった。
これにより、作業時間の短縮と精度の安定化が実現している。
また、3Dレーザースキャナで現況をデータ化し、更新計画を自動で立案する試みも始まっている。
人の経験をデジタルで補完することで、技術の継承が加速している。
従来は「壊れてから直す」だった保守が、「壊れる前に直す」予知保全へと進化している。
列車に搭載したセンサーでレール振動を常時監視し、わずかな変位をデータで検出。
異常が発見される前に、保守チームが現場対応を行う。
これにより、事故リスクの低減だけでなく、夜間工事回数の削減・作業員の負担軽減にもつながっている。
軌道工事は重労働であり、夜勤中心のため人材確保が課題となっている。
その一方で、CO₂排出削減・省エネ施工・リサイクル材利用など、環境面の改善も急務である。
廃バラストの再生利用
低騒音機械の導入
電動建設機械・ハイブリッド車両の採用
作業時間短縮によるエネルギー削減
現場の環境負荷を減らしつつ、安全で働きやすい軌道工事を目指す動きが進んでいる。
熟練技術者の引退が進む中で、若手育成が最重要課題である。
経験に頼る要素をデータ化し、「なぜこの高さなのか」「なぜこの順序で組むのか」を可視化することで、
技能の“感覚”を次世代へ伝える取り組みが始まっている。
研修センターではVR施工訓練やシミュレーター教育も導入され、夜間現場に近い環境で安全教育を行っている。
軌道工事は、長年「重くて厳しい仕事」と言われてきた。
しかし今、その姿は大きく変わろうとしている。
人と機械が共に支え合い、データと経験が融合する次世代の軌道技術へ。
変わらぬ使命はひとつ。
——「列車を安全に走らせる」。
その一点のために、軌道技術者たちはこれからも黙々と線路を整え続ける。